乳がんの初期症状

乳がんの初期症状は、乳房のしこりと思っている人もいますが、そうではありません。

乳がんは、乳管や小葉の中にとどまっている状態(非浸潤がん)と乳管と小葉の外にも広がっている状態(浸潤がん)に分類されます。

非浸潤がんは、がん細胞が血管やリンパ管に入ることはないので、転移を起こさない早期がんといえます。

非浸潤がんでも浸潤がんでも、ある程度進行すると、乳房のしこりとして外から触れることができます。

これを、触知乳がんといいます。

しかし、乳がんの進行は非常にゆっくりなので、しこりとして認識できるまでに成長したときには、がんの発生から何年も経過しているのです。

乳がんは、初期の段階では、無症状といえます。

触れてもわからないがん(非触知乳がん)を発見するにはマンモグラフィや超音波検査などの画像検査が不可欠です。

乳がんの初期症状

乳がんは初期では無症状

実際問題として、初期症状と呼べる段階では目立った兆候はありません。進行もゆっくりしている癌のため、しこりとして認識できるようになるまでには数年を要することになります。
全身の倦怠感や発熱、炎症性乳がんによる皮膚の異常等を生じるのは進行が進んだ場合であって、早期の段階ではこれらの症状は出てきません。命に関わる病気でありながら、乳がんは初期症状の段階ではとても大人しい病気なのです。

早期に治療を行うことができるかどうかは、予後の経過においても大きな影響を持ちます。進行すれば、それだけ癌細胞が広い範囲に散らばってしまうことになり、例えば手術を行ったとしても、術後に再発するリスクが増します。

手術で切除し切れなかった癌細胞の対策として抗がん剤の併用を行うこともありますが、それでも早期の場合と進行している場合では、再発の危険は異なります。病期(ステージ)別に5年生存率を見ても、初期症状のうちに治療を行うことがいかに重要であるかは一目瞭然です。

初期症状のうちに乳がんを発見するために

大きな役割を果たすのは、超音波検査やマンモグラフィです。したがって、体が不調ではない場合でも、定期的に婦人科検診等を受診しておくことがとても重要な意味を持ちます。まだ触れても分からない段階では、画像診断の力が欠かせません。

一般に、注意深く触れて分かるしこりは5㎜以上とされます。もちろん、もっと大きくなるまで気付かないこともあります。自己検診は有効ですが、その大きさになるまでの間は意味を為さないとも言えます。より早い段階で見つけ出して治療を行うためには、検診が必要です。

乳がんは初期症状では自覚できるような兆候がないため、自分は健康だと過信しないことが大切です。日頃から、誕生月に検診を受けるといったように、定期的に検診を受けることを心がけてください。





         




増えている乳がん

日本では、乳がんが急激に増加しています。1999年には乳がんは日本人の女性のがんの中で胃がんを抜いて大腸がんに次ぐ患者数となり、第2位となっています。2006年には4万人を越える人が乳がんにかかったと推定されています。
1年間の死亡者数は1万1千人を越え、特に壮年女性層に限ると1位になっています。この様に、乳がんは、日本女性の最も注意しなければならないがんになっているのです。
それでも、乳がんの多い欧米に比べると、日本はまだ1/3~1/4に過ぎません。ただし欧米では、乳がんの患者数は依然として増加しているものの、死亡率は1990年代に入って減少しはじめているのです。

これは、マンモグラフィ検診による早期発見と徹底した再発予防のための薬物治療が行われるようになったことが原因です。

患者さんの年齢分布は1990年代まで40歳台後半が一番多いとされていましたが、2000年になると欧米と同じように閉経後の乳がんが着実に増加しており、50歳台を中心とした年齢分布に変化してきています。





                

女性で最も患者の多い乳がん

乳房内にある乳腺の上皮細胞にできるがんです。乳腺は乳汁をつくる場所である「小葉」と、乳汁を運ぶ「乳管」に分かれており、乳がんのほとんどは乳管から発生する「乳管がん」で、約5%が小葉から発生する「小葉がん」です。

がん細胞が乳管や小葉から外に出て、周りの組織に広がったがんを浸潤がんといい、内部にとどまっているがんを非浸潤がんと呼びます。


しこりのできるのは主に「浸潤がん」です。ほかに、乳頭がただれるパジェット病、乳房が腫れて発赤する炎症性乳がんなどがあります。
乳がんの発生には、遺伝要因と環境要因があります。がん自体は遺伝しませんが、がんになりやすい体質が遺伝すると考えられています。環境要因としては、食生活やライフスタイルが重視されています。

女性ホルモンの一つ、エストロゲンはがん細胞の増殖に関与しますが、このエストロゲンにさらされる期間が長いことが、乳がんの発生につながっていると考えられています。肥満がリスクとなるのも、脂肪組織でエストロゲンがつくられるからです。